ケミカルミキサー選定の技術知識|耐食性・制御性で差がつく高機能攪拌機の利点 半導体・液晶

攪拌機は扱う液体の性質によって、求められる性能は大きく異なります。
特に、腐食性の高い薬液を扱う「ケミカルミキサー」には、一般的な攪拌機とは異なる設計思想が必要です。化学薬品の攪拌プロセスでは、単に「混ぜる」だけではなく、薬液に適した材質の選定や、化学反応を最適化するための精密な制御が求められます。
ケミカルミキサーを選定する際には、どのようなポイントに注目すればよいのでしょうか。本稿では、特に重要な2つの技術的要点、「耐食性」と「制御性」に焦点を当て、その選定のポイントをわかりやすく解説します。
耐薬品性と材質選定の重要性
ケミカルミキサーの選定において最も基本的な要件は、扱う薬液に対する耐食性です。接液部であるシャフトや羽根の材質選定を誤れば、機器の早期劣化や破損だけでなく、薬液そのものの汚染(コンタミネーション)を引き起こす原因となります。
材質選定の基本
扱う薬液の種類(酸、アルカリ、溶剤など)、濃度、そして温度によって、最適な材質は異なります。
PVC(塩化ビニル樹脂): 多くの酸・アルカリに耐性を持つが、耐熱性や耐溶剤性は高くない。
PP(ポリプロピレン): PVCより耐熱性に優れ、多くの化学薬品に耐性を示す。
SUS304, 316: 耐食性に優れたステンレスだが、塩酸や次亜塩素酸など、特定の薬品には適さない場合がある。
フッ素樹脂(PTFEなど): 極めて高い耐薬品性と耐熱性を持つが、高価であるため、ライニング(被覆)で用いられることも多い。
見落とされがちなポイント
シャフトや羽根だけでなく、モーターとの接続部分であるシール機構や、場合によっては軸受(ベアリング)への腐食対策も、機器の寿命を左右する重要な要素です。
「混ぜる」から「制御する」へ 高機能攪拌機の価値
近年の生産技術や研究開発の現場では、攪拌機は「ただ混ぜる」装置から、「プロセスを精密に制御する」装置へと役割が進化しています。この進化を支えているのが、DCブラシレスモーターの採用や、外部信号による回転数制御機能です。
●プロセスの再現性向上
設定した回転数を正確に維持できるため、複数回の生産や実験において、常に同一の攪拌条件を再現できます。これは、製品の品質安定化や、研究開発におけるデータ信頼性の確保に不可欠です。
●品質と収率の最適化
pH計や各種センサーからの情報(4-20mAなど)を受け、攪拌の強さをリアルタイムで自動調整することが可能です。これにより、化学反応を常に最適な状態で進行させ、品質や収率の向上に貢献します。
危険な薬液を扱う現場や、クリーンルーム内での作業において、装置から離れた場所での遠隔操作や、生産ラインへの完全な自動化組み込みを可能にします。
導入事例:精密な攪拌制御が、表面処理の品質を向上
セムコーポレーションの「超高効率撹拌機 TCMDシリーズ」は、高度な制御要求に応えるために設計された高機能ケミカルミキサーです。
ある表面処理工場では、電解研磨槽内の液温や濃度にムラが生じ、製品の仕上がり品質が安定しないという課題を抱えていました。 そこで、槽内の状態をセンサーで監視し、リアルタイムで攪拌機の回転数を最適化できるシステムを導入。槽内に対流を安定して発生させることで、液性を常に均一に保ち、研磨品質の大幅な向上と、不良率の低減を同時に実現しました。
これからの攪拌機選定は「最適制御」の視点で
ケミカルミキサーの選定は、単なる機器のスペック比較ではありません。
生産プロセスや研究開発における課題を解決し、より高いレベルの品質と効率を実現するための、重要な技術投資です。
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