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撹拌機選定で押さえるべき5つのポイント|業界別の用途と課題解決のための選定法 表面処理

はじめに:攪拌機選定がなぜ重要なのか

攪拌機は、施設の生産性や最終製品の品質を左右する、極めて重要な基幹設備の一つです。適切な一台を選定することは、目先の導入コストだけでなく、将来の運用効率やトラブルのリスク軽減にも大きく影響します。

施設の新規立ち上げやプロセスの見直し、既存機の更新といった様々な状況で、後悔しない選定を行うための具体的な判断基準を、「業界別用途」と「5つの選定ポイント」という観点からわかりやすく解説します。


1. 業界別の主な用途と求められる攪拌の役割

攪拌機は、業界ごとに異なる重要な役割を果たしています。それぞれの用途を理解することで、選定のポイントが明確になります。

化学・薬品業界

薬液の精密な混合、溶解、希釈、そして化学反応の促進など、多岐にわたる目的で使用されます。特に、腐食性の高い薬液を扱う場面では、高い耐食性やシール性を備えた「ケミカルミキサー」としての性能が求められます。

表面処理業界

めっき液や電解研磨槽の成分濃度、あるいは温度を均一に保ち、製品の品質ムラを防ぐという重要な役割を担います。

水処理業界

凝集剤を効率良く混合させて浮遊物質を沈殿させたり、中和剤を攪拌して排水のpHを均一に調整したりするために不可欠です。

食品・化粧品・医薬品業界

原料の均一な混合・溶解、温度の均一化など、最終製品の品質と安全性を担保する上で、極めて重要な工程を支えています。

研究・開発

ビーカーや小型タンクでの実験において、プロセスの条件出しや、再現性のあるデータを取得するために、精密な攪拌が求められます。

2.後悔しないための「選定5大ポイント」

業界や目的が多岐にわたるからこそ、攪拌機の選定には客観的な判断基準が必要です。技術的な5つのポイントを解説します。

●Point 1:液体の特性 何を混ぜるか?
まず、攪拌対象となる液体の物理的・化学的特性を正確に把握することが全ての基本です。
粘度: 液体の「粘り気」です。高粘度の液体を動かすには、モーターに高いトルク(回転力)が求められます。
腐食性: 扱う薬品(酸・アルカリ・溶剤)に対応できる接液部材質(SUS、PVC、PP、フッ素樹脂など)の選定は、機器の寿命と安全性を左右します。
スラリーの有無: 液体中に固体粒子が含まれる(スラリー状)場合、粒子を沈殿させずに均一に分散させるための工夫が必要となります。

●Point 2:攪拌の目的 何のために混ぜるか?
「溶解」「均一混合」「沈殿防止」「反応促進」といった目的によって、最適な羽根の形状や回転数は異なります。目的を明確にすることで、必要な仕様が自ずと見えてきます。

●Point 3:槽の仕様 どこで混ぜるか?
攪拌を行う槽(タンク)の容量、形状(筒・角)、深さは、攪拌機のシャフト長や羽根径を決定する上で重要な情報です。槽に対して機器が大きすぎても、小さすぎても、効率的な攪拌は実現できません。

●Point 4:モーターと制御 どうやって動かすか?
攪拌機の心臓部であるモーターの選定は、極めて重要です。
回転数とトルク: 攪拌の「速さ」と「力」を決定します。目的によっては、モーターの回転をギアで減速させてトルクを増強する「減速機」が必要になります。
制御方法: 単純なON/OFFで十分か、インバーターを用いて回転速度を任意に変えたいか、あるいはpH計など外部のセンサー信号と連動させて精密な自動制御を行いたいか、という制御レベルの要件を定義します。

●Point 5:設置環境
電源の種類(電圧、単相/三相)や、防爆エリアでの使用の有無など、設置場所の環境条件も事前に必ず確認すべき項目です。

 

3. 貴社の課題を解決するセムコーポレーションの提案

セムコーポレーションでは、上記の選定ポイントを踏まえ、お客様の多様な課題に対応するソリューションを提供しています。

小型・省スペースのニーズに対応

研究開発や小規模なプロセスで求められる「攪拌機 小型」のニーズに対し、省スペースで高性能な小型攪拌機をラインナップしています。

高度なプロセス管理の要求に応える

外部信号による精密な回転数制御が可能な「超高効率撹拌機 TCMDシリーズ」は、再現性や品質安定性が厳しく求められる、高機能なケミカルミキサーとしての要求に応えます。

特殊な仕様への柔軟な対応力

標準品では条件が合わない場合でも、お客様の槽の仕様や液体の特性に合わせた一台を設計・提案する、カスタマイズ対応も弊社の強みです。

4. まとめ

攪拌機の選定は、感覚や過去の経験だけに頼るのではなく、明確な目的と技術的な根拠に基づいて行うことが大切です。適切な選定を行うことで、生産効率や製品品質を安定的に向上させるだけでなく、将来的なトラブルのリスクを大幅に減らすことができます。

「どの攪拌機が自社に最適なのか」とお悩みの際は、ぜひ専門知識を持つメーカーにご相談ください。セムコーポレーションでは、豊富な経験と技術力を活かし、お客様の課題解決を全力でサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。


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