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導電率計とは?測定原理と3大方式の違い・形状別種類を徹底解説 水処理

導電率計とは?測定原理と3大方式の違い・形状別種類を徹底解説

導電率計とは、液体の電気の通しやすさを示す「電気伝導率(導電率)」を測定する計測機器です。純水・工業用水・排水などの水質管理をはじめ、薬液の濃度管理や洗浄工程の監視など、水処理設備や各種プラントで幅広く使われています。

一方で、「抵抗率」「セル定数」といった専門用語や、2電極式・4電極式・電磁誘導式といった複数の測定方式があり、どれを選べば良いか迷う設計担当者も多いのではないでしょうか。用途に合わない方式やセンサを選ぶと、測定値が安定しない、汚れの影響を受けやすいといった問題につながります。

本記事では、導電率計の基礎と測定原理、3大方式の違い、形状別の種類、主な用途までをわかりやすく解説します。

導電率計(ECメーター)とは?

導電率計(ECメーター)は、液体の電気の通しやすさを示す「電気伝導率(導電率)」を測定するための計測機器です。
単位には実務で広く使われる μS/cm(マイクロジーメンス・パー・センチメートル)や mS/cm(ミリジーメンス パー センチメートル)、国際単位系の S/m(ジーメンス・パー・メートル)などが用いられます。

水溶液中では、プラスまたはマイナスの電荷を持つイオンが電気を運ぶ役割を担っています。
そのため、導電率を測定することで、液体中に含まれるイオン性物質の量や濃度の変化を間接的に把握できます。
例えば、不純物が極めて少ない「純水」はイオン性不純物が極めて少なく導電率が著しく低く、塩類や酸・アルカリなどの電解質を含む液体では一般に導電率が高くなります。

ただし、導電率はイオンの量だけでなく、種類や移動度、液温などによっても変化するため、導電率の値だけから溶液中の物質の種類や総量を特定できるわけではありません。

導電率計は、こうした性質を利用して、純水・ボイラー水の水質管理、排水処理の監視、薬液の濃度管理などに利用されています。
水処理設備や生産プラントでは、導電率を連続測定することで、液体の状態変化を監視したり、設備制御に活用したりすることが可能です。

導電率計の測定原理

導電率計は、液体の電気的な性質を検出し、その値を導電率に換算して測定する装置です。

電極式では、液体の電気抵抗やコンダクタンスを測定し、電極間の距離や電極面積によって決まる「セル定数」を用いて導電率を算出します。
液体の電気抵抗率(比抵抗:Ω・cm)の逆数が導電率(S/cm)となります。

一方、電磁誘導式では、電極を液体に直接触れさせず、コイルによる電磁誘導を利用して導電率を測定します。

導電率計の測定の基礎:なぜ「直流」ではなく「交流電流」で測定するのか?

導電率の測定で直流ではなく交流を使用する主な理由は、電極表面で生じる「分極」の影響を抑えるためです。

液体に直流電圧をかけ続けると、正負のイオンがそれぞれ反対極へ移動し、電極と液体の界面付近でイオンの分布に偏りが生じます。
この現象を「分極」といい、電極界面に生じる電位差などによって見かけ上の抵抗が変化し、導電率の測定誤差につながることがあります。
また、電圧や測定液などの条件によっては、電極表面で電気化学反応が進み、気体や反応生成物が生じる場合もあります。

このような分極の影響を抑えるため、一般的な電極式の導電率計では、極性が周期的に切り替わる交流電圧を用いて測定します。

導電率計の測定方式の仕組み

導電率計の代表的な測定方式には、「2電極式」「4電極式」「電磁誘導式」の3つがあります。

2電極式と4電極式は電極を測定液に接触させて測定する電極式であるのに対し、電磁誘導式は金属電極による直接的な導電率測定を行わず、電磁誘導を利用して測定する方式です。

測定対象となる液体の導電率や性質、測定範囲、設置環境などによって適した方式が異なるため、それぞれの仕組みと特徴を理解した上で選定することが重要です。

測定方式①:「接触式・2電極法」の仕組みと適正測定領域

接触式・2電極法は、測定液に2つの電極を直接接触させ、電極間に交流電圧を印加して流れる電流から導電率を求める方式です。
比較的シンプルな構造で、小型のセンサにも採用されています。

一方、イオン濃度が高い(高導電率領域)では電極界面に生じる分極などの影響を受け、測定誤差が大きくなる場合があります。
このため、2電極式は純水やボイラー給水をはじめとする比較的導電率の低い液体の測定に広く利用されています。

ただし、実際に測定できる導電率範囲はセル定数やセンサ、測定回路などによって異なるため、用途に応じて製品仕様を確認することが重要です。

測定方式②:「接触式・4電極法」の仕組みと耐汚染性

接触式・4電極法は、電流を流すための2つの電流電極と、電位差を測定するための2つの電圧電極という、計4つの電極を測定液に接触させて導電率を測定する方式です。
2つの電流電極を通じて測定液に交流電流を流し、別の2つの電圧電極で液体中の電位差を測定します。

電圧電極にはほとんど電流が流れないため、電極界面における分極や接触抵抗の影響を受けにくいことが特徴です。
また、2電極式と比較して電極表面の汚れなどによる影響も受けにくく、幅広い導電率範囲の測定に適しています。

このため、低導電率から高導電率まで広い範囲を測定したい場合や、導電率が変化する工程の連続監視などに利用されています。
ただし、著しい汚れや被膜の付着は測定誤差の原因となるため、定期的な点検・洗浄が必要です。

測定方式③:「非接触式・電磁誘導式(トロイダル式)」の仕組み

電磁誘導式(トロイダル式)は、金属電極を測定液に直接、接触させず、樹脂などで覆われた2つのリング状コイルを利用して導電率を測定する方式です。

一方の励磁コイルによって交流磁界を発生させ、測定液中に誘導電流を生じさせます。
その誘導電流によって発生する磁界をもう一方の検出コイルで捉え、信号の大きさから導電率を求めます。

金属電極が測定液に直接触れないため、電極式で最大の課題となる「分極」や「電極の腐食・劣化」の影響を完全に排除できるのが大きな特徴です。
そのため、高濃度の化学薬品(酸・アルカリ)や海水、あるいはスラッジや汚れ・付着物が生じやすい廃液などの測定に非常に適しています。

ただし、純水のような低導電率の液体は測定できない点や、電極式に比べてセンササイズが大きくなりやすい点など、方式特有の制限もあるため、設置環境や配管径に応じた選定が必要です。

【比較一覧表】
測定方式別(2電極・4電極・電磁誘導式)のメリット・デメリットと最適領域

2電極・4電極・電磁誘導式のメリット・デメリットと最適領域について、表にまとめました。

測定方式 測定原理の概要 主な測定範囲
(目安)
汚れ・分極への強さ 代表的な用途・対象液
接触式(2電極法) 2枚の金属電極間に交流電流を流し、抵抗値から測定 超低・低導電率
(純水・超純水~環境水)
△
(分極や汚れに弱い)
半導体純水、ボイラー給水、雨水・井戸水
接触式(4電極法) 電流用と電圧用で電極を分離し、分極影響を軽減 中~高導電率
(水道水~排水・高濃度液)
〇
(分極・軽汚染に強い)
一般工業用水、排水処理、河川水・水産試験
電磁誘導式
(トロイダル式)
電磁コイル間を液が通ることで生じる誘導電流で測定 高~超高導電率
(強塩分・酸・アルカリ・泥水)
◎
(非接触で非常に強い)
CIP洗浄廃液、化学薬品ライン、海水、汚泥・廃液

 

導電率計の活用用途例

導電率計が、各種プラントや水処理現場において、どのように活用されているかを用途別にご紹介します。

【半導体・精密電子】
超純水・純水製造プラントにおける品質監視

半導体や液晶、精密電子部品などの製造工程で使用される超純水には、イオン性不純物をはじめ、有機物や微粒子などを極めて低いレベルまでの除去・管理が求められます。
純水・超純水製造設備では、逆浸透(RO)膜やイオン交換などの処理工程後に導電率計や比抵抗計を設置し、水質を連続的に監視します。(※超純水域では主に比抵抗計が用いられます)。

導電率や比抵抗を監視することで、微量なイオン性不純物の増加などによる水質変化を捉えられるため、純水製造設備の異常を早期に発見したり、製品品質への影響を防ぐための水質管理に活用されています。

【食品・飲料・製薬】
CIP洗浄(定置洗浄)の洗剤濃度自動コントロールと残留判定

食品・飲料・製薬プラントの配管やタンクなどを設備の分解をせずに洗浄するCIP(Clean in Place)工程では、酸やアルカリなどの洗浄液の濃度管理や工程監視に導電率計が不可欠です。

洗浄液の濃度と導電率の相関関係を利用することで、洗浄液が所定の濃度に保たれているかを確認できます。

また、洗浄液とすすぎ水の導電率の違いを利用して液の切り替わりを検知し、バルブの自動切替や洗浄液の回収制御に活用することも可能です。
すすぎ工程では、導電率が規定値まで低下したことを確認することで、洗浄液の残留状態やすすぎ完了を判断する指標として利用できます。

このような導電率による工程管理が、洗浄品質の安定化に加え、洗浄薬品や使用水量の削減、CIP工程の効率化にも役立っています。

【ボイラー・熱交換器】
ボイラー給水管理およびブローオフ制御・スケーリング予防

産業用ボイラーでは、水が蒸気として取り出される一方、水中の溶解成分の多くはボイラー内部(缶水側)に残るため、運転を続けると缶水中の溶解成分が高度に濃縮されます。
過度に濃縮されると、カルシウムやマグネシウムなどに由来する塩類やシリカなどが伝熱面に析出・付着し、スケール形成などの原因となることがあります。

そこで、缶水の濃縮状態を管理する指標の一つとして導電率を利用します。
導電率計で缶水を連続的に監視し、あらかじめ設定した管理値に応じて濃縮された缶水の一部を自動排出する「ブロー制御」を行うことで、缶水の過度な濃縮を抑えられます。
その結果、スケールなどによる熱効率の低下や設備障害のリスク低減につながります。

【環境処理・化学工場】
工場排水・下水処理施設の水質基準遵守・異常排水監視

化学工場や金属処理工場などから排出される工場排水は、排出先や施設の種類などに応じて、水質汚濁防止法や自治体の条例などに基づく排水基準への対応が必要です。
排水処理施設や放流ラインに導電率計を設置して連続測定することで、酸・アルカリや化学薬品などの混入に伴う導電率の異常変化を早期に捉えることができます。

また、導電率計からの信号を警報装置や制御システムと連携させれば、異常時に警報を発したり、設備構成によってはバルブの切り替えや放流停止などの制御につなげたりすることも可能です。

このように、導電率計は工場排水の状態を24時間連続監視し、水質異常の早期発見を支援する計測機器として活用されています。

まとめ|自社プロセスに最適な導電率計を選択し、高品質な水質管理を実現しよう

導電率計は、水処理施設や生産プラントにおいて、水質や工程の状態を継続的に把握するために不可欠な計測機器です。

低導電率の純水から高導電率の薬液まで測定対象は幅広く、導電率の測定範囲や液体の性質、汚れ・付着物の有無、腐食性などによって適した測定方式が異なります。

そのため、主要な方式2電極式・4電極式・電磁誘導式それぞれの特徴を理解した上で、測定範囲だけでなく、液温・圧力、接液材質、配管への取付方法、メンテナンス性なども含めてセンサを選定することが重要です。

自社の測定対象や設備条件に合った導電率計を選定し、安定した水質・工程管理につなげましょう。

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