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スペシャリスト高山の水耕栽培機導入支援記 ~植物工場ができるまで~ 農業 その他

林田

オールフーズ 事業企画部: 
林田

32歳。オールフーズ株式会社には新卒で入社。営業部、カスタマーサービス部を経て事業企画部へ。チャレンジ精神・フロンティア精神が旺盛で新しい物好き。デジタル家電も大好き。研究熱心なタイプで、これが仕事にも好影響を与えている。
ただ、植物の育成スキルは乏しく、小学1年生の夏休みにアサガオの鉢を枯らしてしまった過去を持つ。

高山

セムコーポレーション 営業部部長: 
高山

47歳。営業職25年目の大ベテラン。水耕栽培やハウス栽培を行う農家・企業・代理店向けに水耕栽培機に関する提案やレクチャーを行うのが現在の主な仕事。
地方のお客様が多いため、出張が多い。その分、休日には奥さんを手料理でもてなす愛妻家。トマトが大好きで、もちろんトマト料理も得意。

スーパーマーケットやコンビニに惣菜を卸す食品メーカー:オールフーズ株式会社に勤める林田(32歳・独身)は、この春、新規事業を手がける「事業企画部」へ異動になった。

創業30年を迎え、CSR(企業の社会的責任)にも力を入れ始めたオールフーズ。収益性とイメージアップを兼ねた新規事業として、新しい農業形態である「植物工場」への参入を検討していた。そのリーダーとして林田が抜擢されたのだ。

植物工場で生産した野菜の出荷には、食品メーカーとしてこれまでに確立してきた販路を活用できるため、取引のある小売店で販売してもらえそうだ。ただし、農業のノウハウは一切持っていない。

しかし、そこはフロンティア精神にあふれる林田のこと、意気揚々と植物工場開拓に取り組むのだった。

「植物工場」について知るためにセミナーへ参加してみよう!

新規事業「植物工場」担当になった林田は、まずはネットでのリサーチを終え、さらに体系的な情報を得るために関連セミナーに参加することにした。

セミナー当日。『植物工場/スマート農業セミナー ~採算性を考慮したLED植物工場の養液栽培とは~』の会場は、多くの来場者でにぎわっていた。

スマート農業セミナー

講師は、水耕栽培に詳しい京浜大学農学部教授だ。

林田

…なるほど。水耕栽培ですでにノウハウが確立しているのは、ミツバやレタスなどの葉物か。これなら、初めて取り組むウチみたいな企業でも失敗がなさそうだ。野菜として出荷するだけじゃなく、弁当やサンドイッチの素材としても使えそうだな!
ただ、付加価値の高いイチゴも捨てがたいよな…。収益性は高いが失敗のリスクもある、か…。

一通りの講演が終わったあと、林田は教授のもとへ歩み寄った。

林田

わかりやすい講演で、大変、勉強になりました!ちょっと質問したいことがあるのですが…。

林田は、新規事業で植物工場を検討していること、作物選びで迷っていることなどを告げた。

教授

虫などの異物や雑菌が少ない植物工場のレタスは、惣菜などの加工分野で重宝されているから、御社のニーズに合うだろうね。もし、イチゴも作るなら、レタスとイチゴでは養液を循環させる、させないといった違いもあって設備構成も変わってくるから、養液や肥料管理に詳しい企業に相談すると良いでしょう。

教授は、水耕栽培機や中和装置などを製造販売するセムコーポレーションを紹介してくれた。
隣で林田と教授の話を聞きながら、質問の順番を待っていた参加者が会話に混じる。

参加者A

あぁ、セムコさんか。「らくらく肥料管理機」を出しているところだよね。農業仲間でも、らくらくは評判だよ。うちで使ってるのは植物工場じゃなくハウス栽培だけどね。

林田

そ、そうなんですか。
(農家の間で口コミで広がっているなら、良い機械かもしれないな。会社に戻ったら、さっそく調べてみよう。)

思わぬ形で口コミ情報まで得た林田は、軽い足取りでセミナー会場を後にした。

養液栽培には「循環方式」と「ドリップ方式(点滴方式など)」がある…!?

会社に戻った林田はパソコンに向かい、教授に聞いた社名を打ち込んで検索してみた。

セコム

林田

…ふーん、メインとしては公害防止プラント関連の機器をはじめケミカル関連商品を扱っている会社なのか。水まわりに強みがあるようだな。水耕栽培機は…と、これだ。EC値やpH値が目標値に対して変動したときに、自動で肥料やpH剤を注入し養液を最適濃度に調整してくれる機能があるのか。

林田は、水耕栽培用の肥料管理ができる他社製品の情報収集も行ったうえで、養液の過剰注入防止機能に特長のある「らくらく肥料管理機4」の費用感を知りたくなり、さっそく電話で問い合わせてみることにした。

高山

…お電話代わりました。営業担当の高山です。

林田

あ、お世話になります!実は、当社の新規事業で植物工場を検討しているのですが、先日、参加したセミナーで御社の水耕栽培機を紹介してもらいまして。

林田は、教授に相談した内容を再度説明し、らくらく肥料管理機4の値段を聞いてみる。すると、想定していた金額よりも手頃なことが判明。

林田

(これなら、植物工場に必要なLED照明や空調設備、湿度・温度管理といったほかの設備にも費用をかけられそうだぞ…!)

心のなかで小さくガッツポーズを決める林田だった。

高山

…ただ、オールフーズ様の工場で、らくらく肥料管理機が何台必要かは、作物の種類や割合、棚の組み方などによって変わってきます。さきほど、レタスとイチゴの生産を検討中と伺いましたが、たとえばレタスの場合、養液を作物とタンク間でポンプにて循環させて、レタスが吸った分の栄養素を注入して補います。一方、イチゴの場合は、循環させず、養液を培地に点滴するドリップ方式をとるんです。

循環方式フロー図

循環方式フロー図

ドリップ方式フロー図

ドリップ方式フロー図

林田

循環とドリップ方式…ですか。きっと、それぞれ、養液の配分なんかも異なるんでしょうね…。

高山

もちろんです。当社では、設備の設計から手がけておりますので、一度、お伺いさせていただいてもよろしいですか?

林田

はい!よろしくお願いします。

水耕栽培を成功させるカギは「pH管理」と「EC管理」

そして、商談の日。
林田は、商品カタログや図面を見せてもらいながら、高山から詳しい説明を聞いていた。

高山

養液栽培…水耕栽培は、この一種なのですが、これを成功させるためには、もちろん、光源や湿度・温度管理も大切ですが、なんといっても養液のpH管理とEC管理が大切なんです。

林田

pHは、酸性・アルカリ性の度合いですよね?ECっていうのは…?

pH管理とは

pHとは、養液の水素イオン濃度指数のこと。pH値が小さければ酸性を、逆に大きければアルカリ性を示す。

0 7 14
酸性 中性 アルカリ性

植物は、種類ごとに生育に適した土壌や養液のpH値が決まっており、所定のpH値に保つことで、作物の成長率を高めることができる。これをpH管理という。

EC管理とは

ECとは、液体の電気伝導率(もしくは導電率)のこと。液体は、そのなかにイオンが多く含まれていると導電率が上がる。植物は、養分をイオンのかたちで吸収するため、水耕栽培では養液の濃度指標としてECが使用されている。これも、植物によって適したEC値が異なるため、最適なEC値を保つよう管理する必要がある。

高山

植物にも好き嫌いがあるというか、好きな養分は吸い、そうでもない養分はあまり吸わないんです。すると、養液の構成バランスが崩れてしまうんですね。養液栽培を成功させるには、pH値およびEC値を常に一定に保つ必要があります。しかも24時間です。そこで、全自動でpH管理、EC管理を行う装置として「らくらく肥料管理機4」をおすすめしています。

林田

なるほどー。養液のpHやECは、どうやって観測するんですか?

高山

投げ込み型のセンサーを標準付属しています。正確なpH値の測定のためには、1~2週間に1度くらいのペースで定期的な校正を行う必要がありますが、そのための標準校正液も付属していますよ。

林田

ところで、過剰注入防止機能というのは、どんな仕組みなんですか?

高山

らくらく肥料管理機は、基本的に全自動で肥料・酸・アルカリを制御しますが、機器の不調でそれらがバランスを崩せば、一夜で作物がダメになってしまいます。それを防ぐため、1サイクルの注入時間を任意で設定しておき、過剰注入があった際には画面表示とブザー音で異常を知らせる機能です。

林田

注入を時間で設定しておくのか。…良さそうだな。

高山が帰ったあと、改めて競合製品と比較検討した林田は、らくらく肥料管理機4を導入することに決めた。高山が持ってきた設計図などの資料を添え、同時並行で選定を進めていたLEDや空調設備とともに、稟議に回した。

いよいよ、植物工場が完成!稼働前に工場内でお疲れさま会♪

それから3ヵ月。
オールフーズの植物工場第1号は、事業縮小した調理麺の空き工場を再利用して完成した。 LED照明や栽培棚などの搬入後、セムコーポレーションにも1週間ほどかけて水耕栽培機の設置と配管をしてもらった。

水耕栽培機

明日から、いよいよ植物工場が稼働する。その前夜、林田は、施工してくれた担当者を呼んで植物工場で打ち上げを開催していた。

林田

皆さん、お疲れさまでした!おかげさまで、無事に植物工場完成までこぎつけることができました。本番はここからですが、とりあえず乾杯といきましょう。

一同

カンパーイ!

高山のもとへ林田がやってきた。

林田

高山さん、ありがとうございました!休日まで電話をかけていろいろ質問してしまってすみません。

高山

いえいえ。お力になれてよかったです!明日から、養液や機器を調整したいので、数日間はこちらに足を運ばせてもらいます。

林田

助かります!よろしくお願いします。最初のレタスとイチゴが収穫できたら連絡しますから、ぜひ食べに来てくださいね!

こうして、オールフーズの新事業として植物工場が第一歩を踏み出した。 これから、さまざまな問題や壁に突き当たるかもしれないが、そんな不安を吹き飛ばすくらい、期待に胸をふくらませる林田なのだった。

レタスとイチゴが収穫

※この物語は架空のものであり、実在の人物や企業とは一切関係がありません。