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ベテラン加藤の中和装置カスタマイズ日記~中和装置っていうのは~ 水処理 その他

加藤

セムコーポレーション 開発部部長: 
加藤

56歳 セムコーポレーションでは古株TOP3に入る。
おっとりしていて、みようによってはぼーっとしているようにも見えるが実はかなりのアイディアマン。 社内でもまだまだ頼られる現役部長。

栗本 佳苗

ハロークリエイティブ: 
栗本 佳苗

32歳 Web会社ハロークリエイティブの営業だったが、現在は既存のお客様のサイトを保守運営するアドバイザーに。
セムコーポレーションとは3年の付き合い。ちょっと考えかたがとんでいてどストレートな言い方をするが、セムコーポレーションでは面白キャラとして受け入れられている。

高木 幸平

京浜大学 マテリアル研究室 准教授: 
高木 幸平

45歳 東京都大学卒 バイオテクノロジー専攻。平安大学 放射性同位元素センター助教授を経て、2013年より現職。
教授は学生時代にも面識あり。几帳面な性格で教授をサポート。

セムコーポレーションの加藤部長は、この業界で30年の超ベテラン。
お客様の問題を聞いて普通はカスタマイズできない装置を独自アイディアで解決!今日もすぐには解決できそうもない問題がでてこないかとウズウズするのだった。

会社のホームページに中和装置を掲載する。

栗本

というわけで今度の御社のサイトに掲載する中和装置ですが、正直何に使うのかイメージがわかないので教えてください。

加藤

・・栗本さんうちの担当になって結構経つし製品ページにだって載せてるのにひどい。。でも改めてちゃんと説明はしたことないからしっかり聞いててね!
中和装置というからには中和だよ、中和。pH(ペーハー)とか、酸性とかアルカリ性とか聞いたことない?例えば塩酸と水酸化ナトリウムまぜて、塩と水とかしたり、理科の実験とかでやらんかったか?リトマス試験紙使ったりとかして、酸性とかアルカリ性とか確かめたり。

pHとは

pHとはPower of hydrogenの略で水素イオン指数と 言い、物質の酸性、アルカリ性の度合を示す数値である。

pHの読みはピーエイチペーハーという読み方があり、ピーエイチは英語読みでペーハーはドイツ語読みとなります。日本では1957年にpHのJISを制定する際に、読み方がピーエイチに定められました。

ペーハーの読み方も一般的には多く用いられています。

栗本

あー!そういうのやりました!それが中和なんですね。で、それって装置使う必要あるんですか?

加藤

いやいや、それはあくまで中和の説明なだけで、実際使うのは大学とか企業の研究室や検査室で使うんだよ。

栗本

なるほど。中和して何かの液体とかを調合するんですね?

加藤

ううん、全然違う。研究室や検査室では実験とか検査に酸とかアルカリ性の液体をつかったりするんだけど、それは適当に捨てたり、流していいわけじゃなくて、一応法的にも中和という処置をしとかなきゃならないの。それを中和装置で行うわけ。

なぜpH中和装置が必要か

まず、事業場から排出される酸やアルカリなどの排水は大まかに下記の3つの場所に排出される事が多い。

①公共下水道

公共下水道に排出する場合、特に酸性廃液の場合は鉄やコンクリートでできた下水管、ポンプ施設、下水処理施設を腐食させることや下水処理における微生物の働きを阻害する。

②河川

公共上水道の取水施設、また農作物や生息する生物に対して影響を及ぼす。

③湖沼

河川と違い、停滞水域のため、農作物や生息する生物に対しての影響は甚大である。

栗本

自分たちで適当にまぜて、中和すればいいってもんじゃないんですね。

加藤

実際そういう研究室もまだあると思うけど、配分を間違うと結構無駄になったりするんじゃないかな。それに実験や検査って1日に1回とか2回だけじゃないじゃない?

栗本

そうですね、何度もやっているイメージですね。

加藤

実際何度も実験したり検査しているから、それでいちいち中和に時間とってられないでしょ。 

栗本

なるほど、私御社の担当になって初めてこの装置の役割が理解できました。

加藤

・・もう付き合いながいよね?3年以上やってなかったっけ?汗

栗本

(スルー)俄然、興味が湧いてきたのでもっときいてもいいですか?

加藤

いいよ。なんでもきいて。うちの中和装置すごいんだから!

栗本

ではこれまでその装置をどんなところに導入したんですか?

加藤

それは俺の武勇伝を語れってことだな?

栗本

いえ、武勇伝ではなくて中和装置の導入事例でお願いします。

そうして、加藤部長の武勇伝・・いや中和装置なるものが研究室や検査室でいかに活躍しているかが、語られていくのであった。

加藤

元々水処理関係の製品はうちの会社の得意としているところなんだけど、工場などでは中型の中和装置は使われていたわけ。あるとき公立大学の方から、『大学の研究室で使えるような小型の中和装置ってないですか』って問い合わせがあって。

~ここから回想~

小型の中和装置?

うちに小型の装置ってなかったけど、とりあえず行きます!って言って、紹介された大学の研究室のその当時准教授だった高木さんって人を訪ねていったんだよね。

高木

わざわざきて頂いてありがとうございます。

加藤

とんでもないです、お声掛け頂いてとてもありがとうございます。京浜大学様にも大変お世話になっておりますので。それで本日は小型の中和装置についてと伺っていますが。

高木

そうなんです。加藤様はご存知かもしれないですが、研究室でも廃液はでます。それも実験や検証は一度や二度ではないのですし、複数名が行うため中和の回数も多いのです。

加藤

なるほど、ちなみに中和作業自体どのように・・

高木

研究員が各々目分量で中和処理しています。

加藤

それは地味に時間がかかるでしょうね。

高木

ええ、実はそれを面倒がる研究員も多く、あまり大きな声では言えませんが、ふつうのバケツにためてあとからまとめて中和とかやってたんですけど

加藤

たしかにちょっと危ないですね。

高木

はい、研究室って結構せまいんです。それでうっかり蹴ってこぼしたりすることもあったりして、強いアルカリ性の廃液で研究員が軽いですけど、怪我しちゃったりとか、他の荷物とかにかかっちゃってダメにしちゃったりとか。

加藤

それは災難ですね。

高木

災難というか必然なんですよ。狭いところで一番気を使うのは実験の手元でしょ?足元とか気をつけないですからね。とはいえ、あまりにも頻繁に起こるので注意とかだけじゃ対応できなくなって研究員もだんだんイライラしてきてて。

加藤

確かに研究以外のことに時間を取られるのも足元に気を付けるのも多いと集中できないですよね。

高木

で、うちの研究員が『海外の研究室では中和装置とかおいてあるのに日本って遅れている』とか言い出して。

加藤

そういえばアメリカなどの研究室では中和装置が使われているようですね。

高木

それでそういう中和装置ってどこで取り扱ってるんだろう??って思ってたら、たまたま研修で他の公立大学の方に行く機会があってそこに中和装置があったので、どこのですか?って聞いたのが御社の製品だったんです。

加藤

詳細な経緯ありがとうございます。それでその中和装置(200L)ではダメなんですよね?

高木

ええ、さっきも少しお話しましたが、研究室ってせまいんです。通路だって1人づつしか通れないのは当たり前だし、上も下も荷物でびっしり。だから小型のタイプがあったらいいなと。正直、回数は多いですけど廃液の量自体は全然少ないんですよ、10分の1とかくらいでOKなんです。

加藤

そうすると20Lくらいですか?

高木

そうですね。もう少し大きくても良いんですが・・というかそういう製品あるんですか?

加藤

既成製品ではないですが、タンクを小型化して省スペースであればいいんですよね?

高木

ええ!対応頂けるんですか?それはすごく助かります!

加藤

社内に持ち帰って早々に技術の方に確認してみます。

高木

どうかお願いします。もし対応できるなら御見積もりもおねがいします。

加藤

承知しました。

~回想終了~

加藤

で、うちの中和装置をカスタマイズできないかと社内に持ち帰ったんだけど、私自身はもうできるの見えてたから、これは新しい顧客の開拓ができそうだぞ!とウキウキしたね。

栗本

へーーー!加藤様さすがですね。で購入したお客様はご満足されてましたか?

加藤

実はそうすぐにとんとん拍子にはいかなかったんだよ。

栗本

え?どうしてですか?

加藤

まあまあ、続きを聞いてよ。

栗本

・・壮大な(長い)ストーリーになってきましたね。

~再び回想~

課題がたくさん小型中和装置

意気揚々でもどった加藤部長。それから3日後には京浜大学高木准教授に小型中和装置の見積と仕様について案内すると連絡をいれて再度訪問になったのは依頼を受けてからちょうど10日ぐらいだった。

加藤

という仕様にすればこちらの研究室にも設置が可能かと。

高木

すばらしいですね!!これならこぼすこともないし、実験が終わったら即廃液を処理できますね。

加藤

ええ。そしてこちらが御見積もりです。

高木

・・・。

加藤

やっぱりそうだよね。

高木准教授は見積書を見ながらうなずいた。

高木

やっぱりこれくらいにはなりますよね!

ちょっと予算が足りないなぁ・・・

加藤

なるほど、でも仕様の変更によっては調整できますよ!

高木

ちょっととかじゃなく、思っていた金額より倍近く高いですね。

加藤

ええー!

高木

中和装置って検討したことなかったので、金額の相場がわかりませんでした。

加藤

こちらも申し訳ないです、だいたいの中和装置の費用などをご存知なのかと。

高木

せっかくこの問題を解決できる製品がもう目の前にあるのに、このままあきらめるなんて・・せめてもう少し予算があれば・・ハッ!

加藤

高木様どうかなさいましたか?

高木

いえ、いや、でももしかしたら・・あの加藤さん、もう1個だけカスタマイズの注文をお願いしてもいいですか??

加藤

ええ、なんでしょうか?できそうなことであれば。

高木

仮にですけどこの装置を移動して使おうとしたら、そんなことってできます??

加藤

移動??可動できるようにすればいいんですか?

高木

そうです。省スペースで移動できる。どうですか??

加藤

わかりました。ちなみに移動距離はどれくらいを想定してますか?

高木

距離は数十メートルくらいですかね、あ、でも場所を変えて使えると便利だと思うので。

加藤

なるほど研究室内で中和装置のところに行く、ではなくて中和装置自体を移動させて使うのですね。

高木

まだなんともいえないですが、もし移動して使えるのであれば予算なんとかもってこれるかもしれません。なのでこの追加のカスタマイズができるかどうか検討してください!

加藤

承知しました、お任せください!

こうして加藤は再度社内にカスタマイズ要件を持ち帰り、改めて見積を作成したのだった。

~回想終了~

加藤

で、省スペース中和装置に続いて、移動する中和装置の要件もこの天才加藤はすぐにクリアしてしまったわけ。

栗本

(いきなり天才ついた。)さすがですね!で移動ってどういうふうにしたんですか?

加藤

ああ、こんな感じにキャスターつけて、縦長な設計にしたの。

縦長な設計の中和装置

栗本

えーこれ実際のですか?加藤様は考えかたが柔軟ですね。

加藤

そうなんだよね。もうすぐアイディアがうかんじゃって。

栗本

で、京浜大学様はこれで導入されたんですか??

加藤

そうだね、そのあともいろいろあったんだけど・・

~再再度回想~

高木

加藤さん、やりましたよ!うちの研究室だけじゃなくて隣の研究室も使いたいってことで予算を半分づつだそうってことになったんです。

加藤

そうだったんですね!!ありがとうございます!私の方も可動式の中和装置の設計をご案内できます。

高木

おお!これはスリムで且つ移動させられますね。これなら2つの研究室で使えるし置いておく場所にも困らないな。

加藤

恐れ入ります。御見積もりは若干追加はありますが、ほぼ当初の予算どおりかと。

高木

助かります。これで申請を通しますのでどうかこれからもよろしくお願いします。

加藤

はい!こちらこそよろしくお願いします。

そうして一週間が過ぎた頃、急に連絡がなくなった高木に加藤は少し不安を覚えながら電話をした。

加藤

高木様、その後申請はいかがでしたでしょうか?大学の方で仕様や費用について何かありましたでしょうか?

高木

加藤さん、中和装置の件お待たせしてしまって申し訳ない。

加藤

何か問題がありましたか?

高木

実はあのあとそれぞれの研究室の教授に話をして、うちの研究室は私に任せてくれているので問題なかったのですがもう一方の研究室の教授が、『その1社でいいのか?大事な予算なんだからあいみつはとれ』とか言い出して・・

加藤

そうだったのですね。ですが国内で小型の中和装置を扱うところはそう多くはないと思いますが、価格的には自信があります。

高木

私もそういったのですが聞いてくれなくて。それで仕方なく他のメーカーにも連絡をしているんです。

加藤

なるほど、でも仕方ないですね。高木様にはお手数をおかけして申し訳ない。

高木

いえ!とんでもない。それに今連絡しているメーカーだと既定のものしか提供できないといっているのでそれなら、全然まだ見込はあるかと。なのでもうちょっとだけ待ってください。

加藤

わかりました、お任せしてしまいますがよろしくお願いします。

~回想終了~

加藤

それでね、いくつ中和装置のメーカーに見積をとったんだけど、結局うちの方が仕様にあってて予算内だったからうちのを導入することになったんだよ。

栗本

他のところはみんな高かったんですか?

加藤

いや、1社くぐってくるところがあったんだけど、『設計書をみせてもらえれば』って言われたらしくてそれは他の研究論文とかを盗むようなもんだからってお客様が言ってくれて、無事発注になったよ。

栗本

わーーー!よかったですね。加藤様のカスタマイズ中和装置がとうとう導入されたんですね。

加藤

うん。それでそのあと導入した研究室の中和装置を見て、他の研究室からも問い合わせがあって

栗本

どんどん発注が舞い込んだと。

加藤

その研究室毎にいろいろ課題があったけど私のアイディアが冴えわたって、どれもなにかしらカスタマイズして納入したね!すごいな私!!

栗本

カスタマイズできる中和装置っと。うん、これでホームページにいろいろ説明できそうです。加藤様の武勇伝としてそのまま載せていいですか?

加藤

え?このまま?会社のサイトに?恥ずかしいよ、ダメダメ。

栗本

全然顔がダメって言ってないです。じゃ、これでOKか専務にも確認しますので!また何か面白い開発秘話あったら教えてください!じゃ!これで!

加藤

ちょ、ちょっとーーー!!

そうして後日加藤の武勇伝・・ではなく小型中和装置の詳細はわかりやすくサイトに掲載されたのだった。

※この物語は架空のものであり、実際の人物や企業とは一切関係がありません。

 

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